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2009年06月17日

第16期SA養成第14講座

6月17日相続アドバイザー養成講座の第14講座が行なわれました。

題目は「経営承継円滑化法における民法特例制度」です。
講師は吉田修平氏(弁護士)です。

吉田氏は円滑化法の作成委員会のメンバーです。
日本の強さの元でもある中小企業を守らなければならないという考えのもと取組まれていました。
農地が均分相続で分散したら、日本の農業は消滅するのと同様、中小企業の株が相続で分散したら経営が成り立たなくなります。

何年前の贈与でも、相続人に対する贈与は遺留分の計算に組込まれます。
そして組込む金額は相続時の時価です。
株を生前に贈与を受けた後継者が頑張って会社を成長させると、遺留分の計算の評価は成長した会社の株価になります。
後継者が頑張れば頑張るほど、他の兄弟の遺留分が増えていくのです。

このおかしな現象を修正するのが今回の民法特例です。
①贈与した株を遺留分の計算からはずす。
②贈与した株の価格を、贈与した時の価格で固定する。
これらは、相続人全員の合意が必要になり、家庭裁判所の許可が必要になります。

承継者以外の相続人(以下非承継者という)の合意を取るためには、見返りが必要でしょう。
又、相続人の真意で合意したと、家庭裁判所に認めてもらうためにも、非承継者にも財産を与える必要があるでしょう。(財産を与えることは法律上の許可条件ではありません)
そしてひとりでも合意しない人がいたらこの制度は使えません。
合意しない人は将来の遺留分を期待するからです。
実務的には使いにくさがあるのはいなめません。

吉田氏はこの制度を現場の観点からもっと使いやすくしたかったのですが、多くの壁があり思うようにはいかなかったようです。
しかし
「今回の改正はささやかな前進だけれどゼロではない。
今後の改正の第一歩でもある」
と言われたように今回の改正は大きな意味があります。
事例が積み重なり、より使いすく法が改正されていくことを望みます。

吉田氏のお話は奥が深いです。
歴史を背景に今回の法律の制定の経緯を興味深く話して頂きました。
フランス・ドイツ法と英米法の比較をされ、この違いが源氏と平家の違いに似ているというお話。
等々。

印象的だったのは
「400年500年続いている企業がある国はほとんどない。
しかし日本にはたくさんある。
これは日本の高度な物造りの技術が伝統的にあるからだ。
そのもとになっている中小企業が継続出来なければ日本は成り立たない」
と言われたことです。
この想いのもと法律の作成に尽力されていたことが伝わってくる講座でした。

ありがとうございます。


☆水沼修氏(SA協議会理事)の感想です。

吉田先生は今回の事業承継円滑化法の作成メンバーです。
「相続による資産や経営権の分散から、何年も続いている日本の中小企業を守りたい。」そんな思いが伝わります。

事業承継で問題は、後継者(子供)一人に財産が集中できないところにあります。現行民法では遺留分があるからです。

遺留分
兄弟姉妹以外の法定相続人は、相続の開始後、相続財産の一定割合を有しており、これを遺留分という。
遺留分減殺請求権
被相続人がこれを害するような生前贈与や遺贈をしたときは、遺留分権利者がその効力を奪うことができ、これを遺留分減殺請求権という。

このポイントについて、審議の内容と経緯を話されました。

そもそも日本の民法は明治30年に施工されました。
その基は、フランスの法律です。遺留分は親の勝手から最低限の子どもたちの権利を守るためです。

フランス法・ドイツ法には遺留分がありますが、英米法には遺留分は存在しません。

「現行法上で、生前贈与の活用・遺言の活用により、ある程度相続紛争を未然に防止することが可能であると思われますが、遺留分放棄手続きが厳格かつ煩雑であることなど、現行制度上円滑・迅速な事業承継に支障が生じる点が存在する。」
このような問題定義がされました。

そして学者先生の議論の末、今回決まった特例は、相続人全員の合意の上、経済産業大臣の確認および家庭裁判所の許可を得て、
①後継者が旧代表者から贈与された自社株式の価格について、遺留分算定の基礎財産に算入しない。
②後継者が旧代表者から贈与された自社株式について、その評価額を合意時の時価に固定して、遺留分算定基礎財産を計算する。

このような現状にまだまだ即さない小さな改正でした。
しかし吉田先生は、この一歩は大きいと考えています。

吉田先生の丁寧な解説により、改めて相続分や遺留分の
内容を再確認することができました。
ありがとうございました。

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