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2008年05月20日

5/19特別研修講座報告

5月19日に行われた特別研修講座「事業承継と相続」の報告です。

田中康雅氏(SA協議会評議員)の感想です。

「遺産分割」は、相続人が一切の状況を考慮して、全員で決めましょう。「遺言」は、被相続人の最終意思を尊重しましょう。となっています。どちらも、最初の段階では、相続人あるいは被相続人の意思に委ねられています。
遺産分割における「法定相続分」、「特別受益」、「寄与分」。遺言における「遺留分」等の法律用語は必要ありません。しかし、相続の現場では相続の争いがたえないのは、権利の主張だけがぶつかり合うからです。
法律論先ありきは、権利の主張につながります。最終的には法定闘争です。(結論はきまっていますが・・・)
たとえば、「遺言」。紛争防止のため書くことは非常に重要なことだと思います。
しかし、一方的な内容になっていると、他方の相続人の法律用語「遺留分」を引き出してしまいます。
今の日本では、一定の相続人には必ず認められている「遺留分」。
遺言をアドバイスする以上、絶対に知っておかなければいけない知識です。
そんな中、「遺留分に関する民法の特例」が国会で成立し、1年以内に施行されることになったので、今回の特別研修講座に参加させていただきました。

 まずは、現行民法の「遺留分」の整理。 ポイントは2つです。
1 生前贈与財産に関する遺留分算定の評価時点は、贈与時ではなく相続時であること。
2 共同相続人への特別受益に該当する贈与(ほとんどの贈与が該当)は、期間制限なく持ち戻され遺留分算定基礎財産に算入され、特段の事情がない限り遺留分減殺請求に対象になること。
1について、贈与時を算定基準とする相続時精算課税贈与と混同してしまいがちです。
民法と税法で違うことを再確認できました。
2について、贈与税を払っていれば(相続開始前3年以内の贈与除く)、相続税の計算では相続財産に算入不要であるが、遺留分減殺請求においては贈与時期を問わず、遺留分算定基礎財産に算入するという点。また、相続人への贈与のほとんどが生計の資本のための特別受益に該当するという点。贈与税納付済の生前贈与財産は、税法上の相続財産ではないので遺留分減殺請求の対象にはならない。と考えがちですが、それも誤りであることも再確認できました。

次に諸外国の遺留分の現状についてです。英米法には遺留分そのものがない点で日本と大きく異なります。
遺言が最優先するという点ではシンプルな感じがします。遺言自体の内容が争点になるのでしょうか?
いずれにしても、親の財産を代々受け継いできた日本とは歴史が違いますので、遺留分の問題は今後より議論が必要であると感じました。そもそも相続財産は誰のものか?

次に、民法特例法の改正の趣旨・背景を順を追って説明いただきました。経営者から後継者に生前贈与された自社株の遺留分算入基礎財産の評価時点は、相続開始時のため、後継者の努力・貢献によって株価が上昇した場合、なにもしていない他の相続人の具体的遺留分額が増えてしまう例を挙げていただきました。なるほど、それはあきらかに不公平です。また、株の細分化を事前に防ぐ(相続紛争の未然防止)必要がある点も改正の大きな理由とのことです。

 最後に民法特例法の制度の説明です。細かいことは省略しますが、
 ポイントは①経済産業大臣の確認を受けた後継者であること
②遺留分権利者全員と合意があること
③そのことについて家庭裁判所の許可があること
④ ①②③を経て
1)自社株式その他一定の財産について遺留分算定の基礎財産から除外できること
2)遺留分の算定に際し、生前贈与株式の価額を合意時の評価額で固定できること
 実際の運用は、どのようにすすんでいくかわかりませんが、大事なのは株式等に限ったとはいえ、「遺留分」に特例ができたこと。これは画期的な第一歩だと思います。

 今回は、制度の概要もさることながら、制度趣旨、背景を丁寧にご説明してくださいました。業務を行う
うえでは、制度の趣旨、背景を理解することがなにより大事だと思っております。
吉田先生、ありがとうございました。
相続に係わる制度の改正がありましたら、早い段階で同様に特別講座を開催していただきたいと思います。


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